ミルウォーキーのカウンティ・スタジアムで、野茂英雄の登板した、ミルウォーキー・ブリュワース対カンザス・シティ・ロイヤルズの試合のメイジャー・リーグ・ベースボールの試合を見て来た。この試合はアメリカン・リーグとナショナル・リーグのチームが対戦する、インターリーグ(交流試合)の1つで、試合結果はすべて公式記録に加えられる。
ミルウォーキーはエヴァンストンから車で約2時間北に行ったところにある。シカゴからだと、I-94というExpresswayをひたすら北へ向かい、I-94がミルウォーキーのダウンタウンに入ったところで西へ向かうがそれをそのまま西へ10分くらい行くとカウンティ・スタジアムが見えてくる。工事中にクレーンが倒れて作業員が亡くなった建設中の新しいスタジアム、ミラー・パークもすぐ隣りにあるので、Expresswayからはすぐ分かる。
今年でその役目を終え、新しいミラー・パークにその役目を引き渡す、1953年完成のこのカウンティ・スタジアムはカブスのリグリー・フィールドほどの古さはないが、なかなかの趣のある球場である。
ホームランが出ると、外野後方にあるブリュワリーから女性が滑り台のようなものをつたってビア・マグに降りて、その後に風船が飛び出すというショーのようなものが行われたり、またある回の間にはスポンサーのハーレー・デイヴィッドソンが球場を1周したりと観客を飽きさせない趣向が凝らされていた。
試合は野茂がなかなか好調で、ホームラン2本を打たれたもの7回を3失点に押さえ、今季8勝目をあげた。初めのうちに大量点を貰って結果的に11−3という大差がついた試合だったせいか、三振7、四球1と、安定した投球であった。今月の初めに、シカゴで野茂が登板した時は、4回6失点とボロボロだったが、この日の野茂は調子の良い時の野茂であった。地元ファンの応援もかなりのもので、打席に入る時もかなりの声援が上がるほどであった。実際、野茂は投手にしては打率がかなりよく、スコアボードにはこの日は.306という打率が表示されもした(ヒットも1本打ったし)。
アメリカで野球を見る楽しみと言えば、一方的な地元ファンの応援である。NYヤンキースやその他の幾つかのチームを除くと、全国的な人気を持つチームというのはほぼなく、皆地元チームを応援するので、自然と応援が地元に偏り、相手チームはアウェイの雰囲気で戦わなければならない。また、前述のようにファンを飽きさせないような趣向が凝らされており、7回裏の攻撃の前(7th
Inning Stretchと言う)に皆で歌う"Take Me Out To The Ballgame"は日本でも有名になって来ているであろう。
この日はカウンティ・スタジアムが閉鎖される記念のキャップが配られており、このようなギフトもなかなかきちんとしたものでファンには嬉しいものでもあり、また記念品にもなる。スタジアム内にあるオフィシャル・グッズ・ショップで野茂関連の品物を探したが見当たらず、お店のおじさんに聞いたら、「まだ野茂はミルウォーキーに来たばかりだろ」という答えが返って来た。野茂グッズを作ったら日本人がいっぱい買っていくのにね。でも、このように、野茂に過剰な期待がかかっていないところが野茂が好調を取り戻した1つの理由であるかもしれない。
ちなみに、ロイヤルズ所属のマック鈴木も中継ぎで1回1失点のピッチングを見せ、最後には野茂をリリーフする形で、この後半戦から中継ぎにまわったジム・アボット(右手に障害のあるあのアポットですよ)も2回をきっちり押さえていて、彼もかなりの声援を受けていたのが印象的であった。
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