16. AC
Venezia - FC Bologna
Date : October 30, 1999
Type : イタリア・セリエA
Result : 0-1
Stadium : Stadio P.L. Penzo in
Venezia,
Italy
セリエBから昇格して来た1998-99シーズンではセリエAで11位と健闘し、セリエAに残留したAC
Venezia。特に名前を挙げるほどの選手はいないが、強いて言えば、日本代表の名波か。1999-2000シーズンもここまで18チーム中17位と低迷している。
イタリア北部のボローニャを本拠地とする古豪とでもいうべきか。1909年創立で、これまでに7度イタリアでチャンピオンに輝いているが、セリエAでの優勝は久しくない。1994-95シーズンはセリエC、1995-96はセリエBで連続して優勝し、セリエAに復帰し、それ以降は1996-97は7位、ロベルト・バッジオを擁した1997-98シーズンは8位と中盤をキープし、1998-99シーズンは9位に終わった。元イタリア代表のGiuseppe
Signori、Gianluca Pagliucaを始め、Jose Ze Elias(ブラジル)、Klas Ingesson、Kenneth
Andersson(スウェーデン)などの代表経験者が数多く所属する。しかしながら、1999-2000シーズンは調子が悪く、この試合の前に監督が更迭されたばかり。
FC Bolognaは、この試合の9日前にブリュッセルで行われたUEFAカップの2回戦でメンバー入りもしていなかった、Kennett
AnderssonとKlas Ingessonの両スウェーデン代表も先発メンバーに名を連ねる。スウェーデン代表としてアメリカW杯大会に出場し、今シーズン前にこのFC
Bolognaから同じセリエAのLazioに移籍したものの、出場機会に恵まれずにFC
Bolognaに戻って来た、Anderssonは背の高いこと高いこと。競ったヘディングはまず95%以上、頭に当てていた。中盤に入っていたIngessonも結構背が高く、ちょうどヘディングを競る位置にいた名波は何度も負けていた。
試合のほうは、前半にAC Veneziaのオウン・ゴールでFC Bolognaが先制し、AC
VeneziaはPKのチャンスを得るもポストを叩いて、0−1で前半終了。後半には何度も決定的なチャンスをポストに嫌われて、結局0−1のままAC
Veneziaがホームで敗戦した。ほぼ試合を通して、AC Veneziaが支配した試合と言ってよいと思うが、相手が危険に感じるようなチャンスは支配率の割にはそれほど多くはなかったし、いくつかの決定的なチャンスはものにしていなかった。
このAC Veneziaというチームは中盤でのボール回しというのをしないチームのようで、DFから直接、もしくはサイド・バックに回してから、FW目がけてボールを放り込んで(この日のクロスの精度は酷かった)、そのこぼれ球を拾ってシュートに結び付けるという単純な戦術を繰り返していて、それでもこの日はチャンスは作っていたが、これではなかなか点は取れないのではと思わせる内容であった。
もちろん、これでは中盤のMFの位置に入っていた名波を生かしきれないのだが。名波はこの試合では4・4・2の左側インサイドのMFで、右側インサイドのMFのIachiniと攻撃・守備の位置取りを交代で行っていて、どちらかというとボランチ気味に引いた位置でプレーをすることが多かった。そのため、ボールを触ることは結構あったが、フリーでもバックパスをする癖があって、ため息というかブーイングをかっていた。名波は連戦の疲れからか、相変わらず運動量が少なすぎである。90分戦うために、うまく体力をセーヴしているようであったが、もっと走りまわってボールをもらったりすれば、もっと攻撃に多彩さが与えられるのだが。
後半は、中央でFWのPetkovicが下がってボールをさばくシーンが何度もあり、何度か名波とのパス交換でチャンスを作ったが、このように中央でパスを回せる選手をもっと使うべきのように感じた。名波は、何度か「ブラヴォー」と言わせる逆サイドへのパスを送っていたが、バックパスでのブーイングもあったり、運動量が足りないこともあって、おそらくこちらのプレスの評価は低いであろう。彼の持ち味のゴール前のFKも1回しか蹴らせてもらえず、それも壁に当ててしまっていたが、蹴る前に自分の席の周りから「Nanami」という、「名波が蹴るぞ」、もしくは「名波に蹴らせろ」という意味の声が聞こえたのは嬉しかった。これも3日前のCoppa
ItaliaでFKを直接決めているからであろう。
結局、オウン・ゴールでFC Bolognaが勝ったものの、両チームにとって収穫は少なかった試合であったように感じた。観客数もこの日の試合内容や両チームの低迷度を反映してか、キャパシティの半分強の8,755人であった(まぁ、アウェイ・サポーター用の席にはAC
Veneziaサポーターは入場しないであろうし、この日は3連休の初日というのもあったかもしれないが)。
Stadio
P.L. Penzo (15,000人収容)
ヴェネツィアの一番東のはずれのセント・エレナ島(Isola
di S. Elena、完全な島ではない)に位置している。メイン・スタンド以外は仮設のスタンドで、一昔前の柏サッカー場を思い出させる。両ゴール裏のスタンドは急勾配でそびえたっているが、試合を見るという意味では見やすそうであった。
橋があるとはいえ、1つの島の上にスタジアムがあり、選手はボートでスタジアムに到着するので、スタジアム入口で待っていると選手を間近で見ることが出来る。スタジアムのほうは屋根が付いているのはメイン・スタンドの真ん中部分のみ。今回はこのスタジアムで1番高い(160,000
ITL=約10,000円)、そのメイン・スタンド中央の席(Tribuna Centralissima)で観戦。ピッチは近く感じるし、全体も見渡せて、試合観戦にも最高の席だけど、やっぱりセリエAはベルギーに比べてチケットが高い気がする。まぁ、プレーのレベルに比例しているとは言えるかもしれないが。
このスタジアムでは、ホームのAC Veneziaのサポーターはメイン・スタンドから見て右側(南側)のゴール裏(Curva
Sud)に陣取るらしい。ヨーロッパではたまに見かけることだが。ただ、北側のゴール裏スタンド(Curva
Nord)も両サポーター用にまっ2つに分かれてある。この日は、Curva
Nordが35,000 ITL、メイン・スタンドの両端(Tribuna NordとTribuna Sud)は125,000
ITLであった。バック・スタンドの値段は見なかった。おそらく、相手がAC
MilanやJuventusなどの人気チームの時にはこれが値上がりするのであろう(これもヨーロッパではよくあること)。
入場時の荷物検査もなく、なんとスタジアム内でペットボトルに入ったジュースをそのまま販売しているくらいであった。ただ、スタジアム内で、オフィシャル・グッズを売る場所は見かけなかった。
アクセスは、ヴェネツィアの街の中心を通る水上バス(Vaporetto、片道6,000
ITL、往復10,000 ITL)の1番もしくは52番に乗り、S. Elenaという停留所で下りて、徒歩5分。
チケット(当日券)はスタジアムの脇にある緑のボックスで購入(試合開始の2時間前から販売開始)。緑のボックスは北側と南側に分かれてあるので、ゴール裏で観戦する場合は、見たい側の緑のボックスに行く必要がある。上記の通り、メイン・スタンド中央のTribuna
Centralissimaという160,000 ITLの席をゲット。値段相応の素晴らしい席であった。周りは年配の方々ばかりで、中にはネクタイをして観戦に来るような人達もいるくらいであった。カメラマンが盛んにスタンド中央の写真を撮っていたが、どうやらAC
Veneziaの会長がそこにいたらしい。
上記のデータ・情報はすべて1999年当時のもの。
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