12. RSC
Anderlecht - FC Bologna
Date : October 21, 1999
Type : UEFA Cup2回戦第1戦
Result : 2-1
Stadium : Stade Constant Vanden Stock in Bruxelles, Belgique
首都ブリュッセルを本拠地とする、過去20回以上も国内リーグのタイトルを獲得した名門チーム。正式名称をRoyal
Sporting Club Anderlechtといい、ブリュッセル市の南西地区にあるAnderlechtという地域にある。ベルギー代表はLorenzo
Staelens、Bart Goorなど4、5人おり、それ以外にもカナダ、スウェーデン、チェコの代表がおり、Enzo
Scifoなどの過去の代表経験者もたくさんいる。1998-1999シーズンは3位に甘んじて、1994-95シーズン以来優勝がないが、おそらく1999-2000シーズンも優勝候補の筆頭にあげられるチームである。
イタリア北部のボローニャを本拠地とする古豪とでもいうべきか。1909年創立で、これまでに7度イタリアでチャンピオンに輝いているが、セリエAでの優勝は久しくない。1994-95シーズンはセリエC、1995-96はセリエBで連続して優勝し、セリエAに復帰し、それ以降は1996-97は7位、ロベルト・バッジオを擁した1997-98シーズンは8位と中盤をキープし、1998-99シーズンは9位に終わった。RSC
Anderlechtにとっては侮れない強敵になることが予想される。元イタリア代表のGiuseppe
Signori、Gianluca Pagliucaを始め、Jose Ze Elias(ブラジル)、Klas Ingesson、Kennett
Andersson(スウェーデン)などの代表経験者が数多く所属する。
この日も平日の夜の試合のせいか、前売りがかなり売れていたにもかかわらず、17,098人しか観客が入っていなかった。それでも、スタジアムの収容人数を考えれば、ほとんどの席が埋まっていて、一部、アウェイ側のゴール裏2階部分が空いていた程度であった。こういうサポーター同士の争いが予想される試合では、アウェイ・サポーターを隔離するように、座席が意図的に空けられることが多いが、この日もそうであったし、普段より警官の数が多かった。
試合のほうは、ホームのAnderlechtの攻勢で始まり、途中FC
Bolognaに押し込まれる時間帯もちょっとだけあったが、全体的にBolognaが引き気味なので、Anderlechtはボールを割と自由に回せていた。まぁ、選手の動きが良かったのもあるだろうが。先取点は前半16分、Anderlechtのチェコ代表のFW、Jan
Köllerがクロスを合わせて先制。その後、前半35分にもKöllerが2点目を決めて2−0とAnderlechtがリード。2−0のリードが一番危ないというが、Anderlechtが終始押し気味にある程度余裕を持って攻めることが出来ていた。何度か惜しいチャンスを逃し、前半を終了。
後半に入ってもAnderlechtの攻勢は続き、次々と相手ゴールへ攻め込むが、なかなか追加点が入れられない。何度も何度も惜しいチャンスがあるにもかかわらず、微妙な判定でオフサイドを取られたり、最後の最後でシュートを枠から外したり、ポストをたたいたりと、ツキにも見放されていた感じであった。この日のMVP候補間違いない活躍をしたJan
Köllerはその長身を生かして、GKからのボールや相手ゴール近くのスロー・インなど、ほぼすべてを頭に当てるというポストプレーをこなし、かつ中盤でボールを持ってドリブルでFC
BolognaのDFを抜いたりもしていた。長身にもかかわらず、意外と足技がうまいのは以前から感じていたが、この日もボールを持ったら確実に次のプレーにつなげていたし、決定力という面でもオフサイドになったものも含めて3点を決めているので頼り甲斐があった。
後半途中からは、精力的に前線をかき回していたカナダ代表のFW、Tomazs
Radzinskiに代わって、ザイール人のFW、Elos Ekakiaが入り、彼も前線で得意の突破力を披露。2度ほど決定的なチャンスを作り、そのうち1回はFC
BolognaのGKのPagliucaも抜くが、その後にDFと競りながらシュートの場面でシュートを空振りしたりして、得点力という面で不安を残した。
FC Bolognaは全体的に引き気味に試合を進めるというアウェイの戦いを実践していたが、中盤がなかったためと、Anderlechtの中盤のプレスが効いていて、効果的なカウンター攻撃ができていなかった。結果的に言って、Anderlechtの中盤の指令塔のスウェーデン代表のZetterbergにマンマークを付けたり、少なくとももっと厳しく当たりに行かなかったのが、Anderlechtに中盤を自由にさせた原因であろう。2−0で後半も終了時間に近づいて、GKのPagliucaが1人だけチームを盛り上げようと頑張っているのが印象的であった。試合終了間際になると、Anderlechtの中盤が引き気味になり、Bolognaがそのスペースを使って攻撃的に攻める。Anderlechtはここで、中盤に生きの良い選手を入れるべきだったのだが、それをせず、案の定、ゴール前のこぼれ球をFC
BolognaのSignoriにきれいに決められて2−1。この時、Anderlechtはまだリードしていたにもかかわらず、何人かの選手がピッチに倒れ込み、まるで相手に決勝点を入れられたかのような光景であった。まだリードされているのにSignoriの喜びようもすごかったし。
でも、これは両チームの選手がホーム&アウェイで行われるトーナメント形式のカップ戦のシステムを良く理解しているからで、2試合終了後に勝敗、得失点差で並んだときに、アウェイでの1点は2倍に換算されるルールがあるからであろう。両チームにとって、試合終了間際のこの1点はとても大きな意味のあるものであった。Anderlechtにしてみれば、後半何度もあったチャンスを決めていれば、3−0や4−0になっていてもおかしくない試合を2−1で終え、これからアウェイでの試合が残っているというのは第1戦を勝ったとはいえ、かなり厳しい状況に追い込まれたのである。ボローニャで行われる第2戦では、Anderlechtは引き分け以上が必要になってくる。1−0での負けとかは許されない状況なのである。この試合だけ見たら、内容ではAnderlechtが格段に上回っていたが、この力をアウェイでも出せるかどうかが鍵である。
Stade Constant Vanden Stock(約28,000人収容)
UEFAの基準を満たすよう、通常は立見席である両ゴール裏は仮設シート付きになっていたが、残りの席は全ては座席付きで、全席屋根の下に隠れるようになっている。狭さを感じるスタジアムだが、その分ピッチとの一体感はかなりあり、ピッチもかなり近くに感じることができる。ピッチが柵で囲われているため、1階席のあまり前の列のシートはお勧めしない。
オフィシャル・グッズ・ショップがスタジアムの外側にあり、様々なグッズが購入可能。レプリカ・ユニフォームに選手の名を入れてもらうことも可能(500ベルギー・フランBEF=約1,500円の追加料金)。
アクセスは、METROの1B線もしくはトラムの56番線のSt.
Guidon駅下車、徒歩10分。ブリュッセルの中心からだと大体15〜20分くらい。スタジアム周辺には屋台のお店が出るので試合前の腹ごしらえは問題ない。スタジアム内にはビールとコーラとアイスくらいしか売っていない。
スタジアム周辺に何ヶ所かある当日券販売所で購入可。席種によって購入する窓口が分かれている。ただし、リーグ戦の当日券については不明。毎試合25,000人の観客を集めているようなので、リーグ戦の当日券購入は難しいかもしれない。この日は、G3(1800BEF=約5,400円)というバックスタンド2階席の中央部分前から5列目。ちょうど目の前にセンター・サークルが来るようなど真ん中であったため、ピッチ全体が見渡せて試合自体がすごく見やすかった。UEFA
Cup2回戦ということで、だんだん値段が上がっていく。この日の当日券の最高額は2000BEFであった。前売りが15,000枚も売れていたようであるが、当日券は依然として残っており、助かった。
上記のデータ・情報はすべて1999年当時のもの。
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